「顧客は誰か」との問いこそ、個々の企業の使命を定義するうえで、もっとも重要な問いである。(『マネジメント』エッセンシャル版)
この問いの後、ドラッカーは顧客は少なくとも2種類の顧客を持つと言っています。
カーペットなら建築業者と住宅購入者
生活用品なら小売店と主婦
この例えは流通の多重性のことを言っているものですが、「顧客」の中の「ターゲット」を絞り込むことによって、販売のしくみ、つまり、マーケティング手法が明確化してきます。
この流れは、補助金の事業計画書の作成手順として必須のもので、補助金に限らず企業のマーケティングを行う上では必ず行われるものです。
しかし、このようにターゲットを明確にしていくことは、得てして全体的、俯瞰的な見方を失ってしまいがちです。イノベーションを実現していくためには、「顧客はお金を払ってくれる人」という考えから離れる必要があります。
マーケティングに集中して、イノベーションができなくなることを避けるためにも、「お金を払ってくれる人だけが顧客」という考えを改める必要があります。「お金=顧客」の考えは「事業目的=お金」に直結します。